Patの代表曲「Have You Heard」を用いて、アドリブの組み立てを研究してみましょう!
題材はDVD「More Travels」バージョン、アドリブスタートから56小節目までです。
今回は以下の2つのポイントを意識します。
1:アドリブ部分の曲フォームのアナライズをする。
2:どのタイミングでどんなフレージングをしているかを聴き取る。
ではさっそく曲フォームのアナライズをしてみましょう。
Have You Heardのテーマ部分は7/4拍子ですが、ではアドリブ部分はどうなっているでしょうか?
(余談:7拍子でこんなに印象的なメロディを作れるとは本当に驚きですよね!)
実は普通の4/4拍子です。
あ、テーマとアドリブで違う拍子にしても良いんだ、と思われた方もいるかと思います。
ジャズスタンダードだとテーマ部のコード進行そのままでアドリブを演奏するのが普通なのですが、オリジナル曲の場合にはそうする必要は無い、自由に曲を組み立てて良いということですね。
(余談:Mike Sternもよくこのアプローチをしますね!)
次にコード進行を聴くと、実はマイナーキーのBlues進行になっています。
アドリブとしてはずいぶん基本的な、聴きやすいフォームということなのですが、その上でどんな面白いアプローチをしようかということがPatの真骨頂だと思います。
このサイクルを2回弾いた後、8小節のBridgeパートがあって、またBluesを1サイクル弾いてから最後に転調してもう1サイクル弾く、というのが今回アナライズした部分の演奏となります。
ということで、ここまでをまとめてみますと、、、
・アドリブ部分は4/4拍子のマイナーBluesのコード進行である。
・Blues1(12小節) - Blues2(12小節) - Bridge(8小節) - Blues3(12小節) - Blues4(転調12小節) という構成。
ということですね!
では次にフレージングのアナライズをしてみます。
スコアに既に記入してありますが、大まかに言って以下のようなバリエーションが聴き取れます。
映像とスコアを見比べつつ、フレーズの形を意識しながら聴いてみてください。
<diatonic系>
→diatonic:普通のdiatonicの響きがするメロディアスなフレーズ
→diatonic[call] & diatonic[response]:diatonicでコール&レスポンス
→diatonic fast:速いdiatonicフレーズ
→diatonic rhythmic ascending:diatonic音を使って面白いリズムでのアプローチ
<target note approach系(TNA)>
→target:TNA
→fast chromatic target:速いクロマチックのTNA
→target long & fast:長くて速いTNA
→diatonic target ascending:diatonicフレーズとTNAフレーズのコンビネーション・上昇型
→target chromatic descending:クロマチックを多用したTNA・下降型
<penta tonic系>
→penta slow 2octave ascending:ゆっくりペンタで2オクターブ上昇
→penta slow:ゆっくりペンタ
→penta fast descending:速いペンタの下降
<interval系>
→5th interval phrases:5度音程を使ったフレーズ(いわゆるPatが得意とするフレーズ!)
→5th interval stay:5度音程を使ったフレーズ・1カ所に留まる
→5th interval ascending & descending:5度音程を上昇&下降
<arpeggio>
→arpeggio in~out:インサイドからアウトするアルペジオ
<one note>
→one note (repeating):1音を繰り返す、もしくは重点的に弾く
→pent one-note ascending:ペンタを使って1音を強調しながら上昇
→same notes:全く同じフレーズを複数回弾く
<double notes>
→diatonic double notes:diatonicの音を2回ずつ繰り返す
→penta double:ペンタを2回ずつ
<quater notes>
→diatonic quarter notes:diatonicの音を4分音符で弾く
以上のようにいろいろなフレーズのコンセプトとバリエーションが含まれていますね。
ここから言えることは、例えば一つのコンセプトで違う音の組み合わせを演奏することが可能と言えます。
コンセプト→ascending、one notesなど
音の組み合わせ→diatonic、pentaなど
フレーズを一つ耳コピーしたらそれをそのまま憶えて弾くだけではなく、コンセプトを抜き出して他の音の組み合わせに応用して自分なりのフレーズを生み出すという作業にぜひチャレンジしてみましょう!
自分のオリジナリティが入ったフレーズが生まれる可能性はそこにあります!