2011年7月12日火曜日

PatMethenyLabo:「James」アドリブ研究その1

Patが敬愛するアメリカのシンガーソングライター、James Taylorに捧げた曲「James」。
優しいメロディラインはすぐに口ずさめるくらいポップでありながら、モーダルインターチェンジを駆使したコード進行がとても印象的です。
Acousphereを始めた当初からの愛想曲ですが、いつも演奏しながら気持ちが癒されます。
Patの作曲法の奥深さと、インプロビゼーションの巧みさを絶妙なバランスで聴くことができるアルバムバージョンから、アドリブソロを1フレーズごとコピーし分析していきたいと思います。

JamesのキーはDメジャーなので、フレーズの根本はDメジャースケール(D Ionian)で演奏されています。
モーダルインターチェンジの箇所は他のモードやスケールに変化しているので、その都度説明していきます。
では動画をごらんください!



TAB譜はこちら!

<フレーズの説明>
・再生時間8秒
2弦3フレットにルートのD音があるポジションから始まります。
スケールダイアグラムで音の配列を確認してください!)
最初の4つの音までは同じポジション内で演奏しています。
フレーズのソルフェージュは「Do Re Mi Do」です。
Doからフレーズを始めることで、メロディを一度リセットしアドリブが始まったことを印象づけることができます。

・再生時間9秒
人差し指を5フレットに移動し、double-slide-hammeringを入れ薬指で7フレットのLaへ。
ダイレクトにLaへ行くと普通のギター表現になってしまうが、double-slide-hammeringを入れることでボーカリスト的な「しゃくり」の表現が可能です。
また普通のslideだとクドいニュアンスになりがちですが、double-slide-hammeringは経過音がすっきり聞こえるところが良いところです。

・再生時間10秒
中指で2弦6フレットを一度押さえすぐさま7フレット(Mi)へslide-up。
7フレットの音が出たらすぐに切り、次の音への「間」を作りましょう!
「間」を活かした演奏はボーカリストの「ブレス」的表現となり、歌うフレーズを作り出します。
次に2弦5フレットを人差し指で押さえ3フレット(Do)へslide-down。
Doに戻ることで解決感のあるフレーズとなっています。

・再生時間11秒
3弦7フレットのDoに人差し指を移動します。
この場所は3弦ルートの新しいポジションなので、スケールダイアグラムで音の配列を確認してください。
次に小指で1弦9フレットを押さえてから10フレットへslide-upし、3回ピッキングします。
1弦10フレットの音は3弦7フレットの1オクターブ上の「Do」です。
大きくジャンプする音程(リープ)はフレーズの流れに変化を与えることができるので、ぜひ使えるようになりたいアイディアですね!
次に1弦7フレットの人差し指から9フレットの薬指へdouble-slide-hammeringを入れ、7フレットのLaでこのフレーズは完結します。
Laで終わることで終止感のない、ふわっと浮いた雰囲気のフレーズとなっています。

<Technical Advice>
ルート音を基点にポジションを把握しよう!

ルート音を基点にしてポジションを捉えることはとても重要です。
Patはこのフレーズの中で2箇所のポジションを使って演奏しています。
最初のポジション、ルートが2弦3フレットのポジションは音域が低い場所にあります。
低い音を弾くには良いポジションですが、一番高い音は「So」までしか弾けません。
なのでPatは高い音域まで弾ける3弦7フレットのポジションに移動しています。
このポジションは6弦10フレットから1弦10フレットまでの2オクターブを網羅できます。
各ポジション毎の音の配列を把握し、自分のクリエイティヴィティを邪魔しないスムーズなポジション移動をできるようにしましょう!

<参考音源>
音源はPat Metheny Groupのアルバム「Offramp」に収録されています。
右上のジャケット写真をクリックするとiTunesプレビューが開きますので、まだ聴いたことがない人はぜひチェックしてください!