2015年2月3日火曜日

PatMethenyLabo:パット的ギターの構え方についての考察

ギターの構え方はそのギタリストを知るためにとても重要なポイントです。ギターの位置により演奏性が異なり、演奏内容そのものにも影響を与えます。これは大袈裟な言い方ではなく、Patのように演奏したければPatのようにギターを構えなければいけないということです。以下、Patのギターの構え方について考察していきましょう。

Patはかなり高くギターを持ちます。一般的にジャズギタリストはギターを高く持つ人が多いのですが、その理由は何でしょうか?他ジャンルのギタリストと比較しながら考えてみましょう。



まず一番低く持つジャンルの代表としてパンクがあると思います。ギターはベルトよりも低いくらいの高さです。左手はネックを鷲掴みにし、コードをかき鳴らす、またはリフ的メロディを弾くことが多いです。演奏自体はとてもシンプルだがアグレッシブなアクションをしやすい構え方ですね。そしてこの格好そのものがパンクのスタイルになっています。(写真:Sex Pistols)

次にブルース、ロック系のギタリストですが、ちょうどベルトの位置くらいに構える人が多いです。左手のコントロールをしやすくするためにネックを若干上げ、腰のあたりでピッキングします。無理のない構えをすることで音楽自体が持つ雰囲気同様の余裕ある演奏が可能になります。(写真:Eric Clapton)

ハードロック、メタル系のギタリストは速弾きを多用する場合があるので、もう少し高くなります。演奏に集中しているときは操作性が良く、派手なアクションももちろん可能な構え方です。(写真:John Petrucci)

Patの場合はギターがフルアコなのでボディが大きいということもありますが、胸の高さくらいのところにギターがきます。体の正面とギターの正面が大体30度くらいの角度がつくようにネックを左前に出し、右脇の下にギターを入れ14フレットあたりが体の中心にくるように構えます。12フレットを体の中心に持ってくるギタリストもいますが、その構えと比べるとPatは若干ギターを左寄りにして持っていると言えます。これは推論ですが、Patは右手への意識をかなり強く持って演奏しているのではないでしょうか。正確に音を出せれば良いというだけではなく、思い通りのアーティキュレーションを付け、一音一音に感情を込めて演奏するためにはピッキングの意識がとても重要です。完全にピッキングをコントロールし、そこに意識を集中しやすい持ち方を模索するうちに現在の構え方に至ったのだと僕は思います。

そして全身に目を移してみるとPatは両足を大きく開き、重心を低くしてどっしりと構えます。右足が少し前に出ていて、背中を若干丸めた感じでギターを大きく抱えています。指先だけを動かしているというよりも、体全体を使ってエネルギーを出しているように見えます。これは楽器演奏の枠から出て、スポーツすることにつながる体勢だと僕は思っています。全身の筋肉をバランス良く使い、体全体から大きなエネルギーを出す。東洋的な考え方で言う「気」を充実させることで、文字通り気合いの入った素晴らしい演奏が可能なのだと思います。心身の充実が良い演奏につながるということですね。我々もいつもベストなコンディション作りをし、100%の自信を持ってステージに上がれるよう準備を怠りなくしたいものですね。