2012年6月5日火曜日

PatMethenyLabo:「James」アドリブ研究その4

Patが敬愛するアメリカのシンガーソングライター、James Taylorに捧げた曲「James」。
優しいメロディラインはすぐに口ずさめるくらいポップでありながら、モーダルインターチェンジを駆使したコード進行がとても印象的です。
Acousphereを始めた当初からの愛想曲ですが、いつも演奏しながら気持ちが癒されます。
Patの作曲法の奥深さと、インプロビゼーションの巧みさを絶妙なバランスで聴くことができるアルバムバージョンから、アドリブソロを1フレーズごとコピーし分析していきたいと思います。

Jamesのオリジナルアルバム・バージョンからのアドリブソロコピー、その4です。

<フレーズの説明>
・再生時間2秒
15小節目4拍目のウラ拍から始まるフレーズの、最初の4音を取り上げます。
コード進行はC#m7b5からF#7へとつながる移り変わりの激しい箇所です。
Patはこれらのコードを几帳面になぞるのではなく、重要なポイントに絞って演奏しています。
Patの音使いはF#、G、A#、C#となっていますが、これらの音をどのように解釈すれば良いでしょうか。
C#m7b5からみると4度、b5度、6度、ルートとなります。
F#7からみるとルート、b2度(=b9度)、3度、5度となります。
両者を比べてみると、F#7(b9)のコードトーンを弾いていると考えるのが一番シンプルだと思います。
Patはこの場合(流れの早いコード進行のとき)無理に全てのコードを弾こうとせず、印象的なコードに絞りフレーズをくっきり聴かせているということが言えると思います。


・再生時間3秒
16小節目の3拍目からの4音についてです。
コードはBm7の箇所です。
コードトーンと対比した場合はb3度、4度、5度、b3度となりますが、曲のキーから見るとDo、Re、Mi、Doとなっています。
本来であればBm7=VIm7のフレーズとして捉えるべきですが、聴こえ方としてはDメジャースケールの最初の3音と聴こえます。

・再生時間4秒
17小節目から18小節目まで、繰り返しのフレーズが出てくる部分です。
So、Mi、DoというフレーズとSo、Tiというフレーズの2種類が入っています。
コード進行はEm7とD on F#の繰り返しなのでコードトーンとして見ると正反対の順番なのですが、フレーズとしてみるとこの順番の方が流れが出ますね。

・再生時間7秒
19小節目から20小節目の2拍目までの部分です。
SolfegeでいうとLa、La、So、So、Re、Re、Re、Re、Doとなっています。
Em7の部分は5度、5度、4度、4度となり、4度のA音は次のA7のルート音ですね。
これはコード進行を前倒しで弾いていると言えます。
その流れで次のフレーズ、A7の部分で5度、5度、5度、5度となり、Dmaj7でRootに落ち着きます。

<参考音源>
音源はPat Metheny Groupのアルバム「Offramp」に収録されています。

まだ聴いたことがない人はぜひチェックしてみてくださいね!