2012年4月5日木曜日

PatMethenyLabo:Target Note Approach、Third Wind研究と"unit"

ここではtarget note approachで演奏されたフレーズを分析し、どのようなコンセプトが含まれているのかを考察してみたいと思います。実際に演奏された映像と譜例をご覧ください。DVD "More Travels" に収録されている「Third Wind」から、前半のテーマが終わり、アドリブに入る直前に演奏されているtarget note approachフレーズです。(再生時間 1分38秒)



4小節に渡って16分音符で怒濤のように弾かれていますね!この長いフレーズの中にtarget note approachの仕組みを明らかにする重要な要素が含まれています。まずTAB譜を見ながら弾いてみましょう。(大きく見るには画像をクリック!)



では次にこの長いフレーズを、1拍ごとの短いフレーズに分解して考えてみます。下の図をご覧ください。


1フレーズ毎に色分けし、番号を付けて表示してみました。これらの小さなフレーズのことを「unit」と名付けましょう。一つ一つのunitの特徴をみていきます。

unit1:クロマチックで3音上昇し、高音弦に移動
unit2:高音弦に移動し、クロマチックで1音下降し、低音弦に移動
unit3:クロマチックで3音上昇し、高音弦に移動
unit4:高音弦に移動し、クロマチックで1音下降し、低音弦に移動
unit5:低音弦に移動し、半音下降しながら高音弦に移動し、低音弦に移動
half:低音弦に移動
unit6:クロマチックで3音上昇し、高音弦に移動
unit7:低音弦に移動し、半音下降しながら高音弦に移動し、低音弦に移動
half:低音弦に移動
unit8:クロマチックで3音上昇し、高音弦に移動
unit9:低音弦に移動し、半音下降しながら高音弦に移動し、低音弦に移動
unit10:低音弦に移動し、クロマチックで1音移動し、低音弦に移動
unit11:低音弦に移動し、クロマチックで1音移動し、低音弦に移動
unit12:低音弦に移動し、クロマチックで1音移動し、低音弦に移動
unit13:クロマチックで3音上昇し、高音弦に移動
unit14:高音弦に移動し、クロマチックで1音下降し、低音弦に移動
unit15:低音弦に移動し、全音下降

これらのunitには良く似た形のものがあることにお気づきかと思います。大まかに分類してみましょう。

パターンA:unit1、unit3、unit6、unit8、unit13
パターンB:unit2、unit4、unit7、unit9、unit14
パターンC:unit5、half(unit5が半分になった形)
パターンD:unit10、unit11、unit12
パターンE:unit15

各グループ内のunitはほとんど同じ形ですね。ここで分かることは、Patは決まった形の何種類かのunitを組み合わせて長いフレーズを組み立てているということです。

ではこのページの最後に、フレーズの最小単位であるunitが4音で構成されていることについて考察します。仮にunitが5音や6音で構成されているとすると、各フレーズが全く異なる形になります。規則性が全くなくなってしまうので、フレーズのコンセプトとして昇華することは不可能になってしまいます。ゆえにunitが5音や6音で構成されているという考え方はありえません。
では仮にunitが倍の音数の8音で構成されているとしましょう。フレーズとしては分かりやすく、実際8音を1フレーズとして演奏されているパターンもありますが、4音区切りでないと説明がつかない部分もあります(パターンD)。また8音だと音数が多すぎて、フレーズを自由に組み合わせて使いたいときに小回りが効きません。これらの理由から、やはりunitの構成音は4音と考えるのが良いと思います。
※8音のフレーズはunitが2コつながった「poly-unit」と考えます。別ページを参照ください。