2012年2月8日水曜日

シングルノートプレイ上達のためのトレーニング

このトレーニングの目的はピックを使ったシングルノートプレイのテクニックを構築し上達させることです。上級者の人にもちょっと難しいかもしれませんが、がんばって練習を重ねてみてください。また初中級者の人もゆっくりやれば少しずつ出来るようになってくるのでぜひチャレンジしてみてくださいね!

<パガニーニ・24の奇想曲、第二番より>


■曲について
18世紀終わりから19世紀にかけて活躍していたヴァイオリニスト、Nicolo Paganini(ニコロ・パガニーニ)が作曲したヴァイオリン独奏曲「24の奇想曲(24 Caprices)」から取り上げます。ヴァイオリンのテクニックを磨くことを目的として作曲されたために演奏するのが難しいものばかりですが、現代ヴァイオリンの基礎を作ったとても重要な曲集です。その中の第二番から、冒頭部分を選んでみました。ギターとヴァイオリンは開放弦の音の並び方が異なります。音域が下の弦から上の弦に向かってギターは4度ずつ、ヴァイオリンは5度ずつ上がる配置になっています。この曲はヴァイオリン用に作られた曲なので当然同じ指使いで置き換えることはできませんが、弦をスキップしながら弾くというコンセプトはギターにも共通で使えます。




■トレーニングのポイント
右手は2音アルペジオとも言えるフレージングが中心です。ストリング・スキッピング(弦飛び)が多用されるので、正確に各弦を捉えられるかがポイントになります。良い音色でスムーズなピッキングをできるよう練習してください。左手はポジションチェンジはほとんどありませんが、多弦に渡る正確なフィンガリングが求められます。一音一音の音価をしっかり意識して、音が滑らかにつながる演奏を目指してください。

■指使いとピッキングの説明(人差し指:i、中指:m、薬指:a、小指:p)
このフレーズには特定の音使いのパターンがあります。2つのメロディラインがあり、片方が同じ音に留まっている間もう一方が変化する、というパターンです。例えば1段目では、裏拍にあたるタイミングで1弦7フレットに留まっていて、2段目では1弦6フレットに留まっています。変化している音については強く意識できるのできちんと演奏できると思いますが、留まっている音が意外に難しいと思います。同じ場所に留まってはいますが、ずっと押さえっぱなしではいけません。弦を押さえて離す、という動作を一つ一つ確実に行いましょう。ピッキングは全てダウンから始まるオルタネイトピッキングで行います。ダウンピッキングにあたる場所が音域の低い弦、アップピッキングにあたる場所が音域の高い弦となっています。ピックが動く方向と弦移動の方向が一致しているので、無理のないピッキングができるフレーズです。自然なピッキングの流れを意識して練習してください。

■練習方法
最初はとてもゆっくりなテンポから始めましょう。フィンガリングとピッキングのコンビネーションを確実にできるよう練習してください。特にストリング・スキッピングのある箇所は右手に意識が行きがちです。左手の素早いフィンガリングに集中して演奏できるよう、右手はある程度弦間の感覚を頼りにしつつ、見なくても弾けるくらいになれると良いでしょう。難しい箇所は2音だけ取り出して繰り返し練習したり、1小節単位などで分割して練習するのも良い方法です。

■フレーズ応用へのアイディア
今回のフレーズは2声のメロディラインで成り立っているものでしたが、同じコンセプトをコードアルペジオの伴奏に利用することができます。あるコードフォームを押さえた状態で、ベース音を固定して他のコードトーンに変化を付けながら弾くというアイディアです。(Jonh MclaughlinがPaco De Luciaと共演したとき、伴奏部分で使っていました。)またアドリブフレーズとして使っても有効です。ちょっとクラシカルな匂いのするフレーズが演奏できます。

この譜例を全部クリアできたら曲の先に進んでみても良いと思います。なかなか骨のあるトレーニングだと思いますが、ぜひがんばってトライしてみてください!

■参考
Paganini "24 Caprices" / Itzhak Perlman (イツァーク・パールマン)