2012年3月23日金曜日

エレガットのサウンドメイク・アイディア

ここ最近いろいろなメーカーからクオリティの高いエレガットが発売されていますね。ソリッドボディならGodin、Sadowsky、アコースティックボディならTaylor、Larrivee、そして元祖エレガットとも言うべきGibsonなどなど。オーソドックスに伴奏に使ったり、リードギターとして使ったり、いろいろな使い方ができるのがエレガットの強みです。そんなエレガットのサウンドメイクで僕が行っているアイディアを紹介したいと思います。

そもそもエレガットとは、クラシックギターに張ってあるのと同じガット弦の振動を特殊なピックアップで拾い、エレキギターのようにPAやアンプから出力できるギターです。ガット弦の太く温かな音色を使えるのはギタリストの表現方法としてとても有効だと思います。ソリッドボディとアコースティックボディでキャラクターの違いはありますが、「ピエゾピックアップ」で弦振動を拾っているという点が共通しています。


この「ピエゾピックアップ」も各メーカーでキャラクターが異なりますが、概して言えるのが弦の響きを「リアル」に拾うということでしょう。弦に直接触れている場所で振動を拾うので、ピッキングのニュアンスだけでなく弦の材質などもリアルに分かります。クラシックギターの前にマイクを立てて拾ったナチュラルな音色とは違う、とてもくっきりした音色です。

さて、この「くっきり」したピエゾピックアップの音色。音源の中で周りの音に埋もれず、存在感のあるサウンドが僕はとても好きなのですが、一点気になるポイントがあります。それはガット弦に含まれているナイロン弦と巻き弦の音色の差がかなり分かってしまうというところです。それぞれの弦の素材感がリアルに音色に影響するので、ナイロン弦は柔らかく滑らかな音色、巻き弦は特有のザラつきのある音色となります。この巻き弦の音色はピックでピッキングしたときに顕著に分かりますが、左手のフィンガーノイズとしても出てくる音なので、できれば減らしたい。前置きがずいぶん長くなってしまいましたが、今日の本題はこの「ガット弦の巻き弦のザラつき音を押さえ、ナイロン弦とキャラクターを揃えるアイディア」ということになります。

方法はとても簡単です。巻き弦がピエゾピックアップと接触している部分に薄いゴムシートを挟む、ということです。 写真を見てみてください。各社のピエゾピックアップの形状に違いはありますが、弦が金属のブリッジサドル(これがピエゾピックアップです)に乗っている状態になっています。ここに薄いゴムシートを挟むというわけです。以下、簡単に手順を説明します。(ここでは6弦分離タイプのピックアップについて説明します。) 




1:ゴムシートを用意する。幅はブリッジサドルくらい。長さは2cmくらい(弦を張っている最中に摩擦でずれるため長めに切っておきます)。
2:弦を緩め、弦とピックアップの間にゴムシートを挟む。
3:ゴムシートが外れないように気をつけながら弦を張る。

作業は以上です。2枚目の写真がゴムシートを挟んだ状態です。ゴムシート無しの状態と音色を比較してみると、ザラつき感が抑えられ若干まろやかなサウンドなっています。試しに6弦からメジャースケールを弾いてみると、特に4弦から3弦に移るときの音色の差が目立たなくなり、全体的に統一感のある音色になりました。もちろんこの音色も好きずきですので、僕と同じような悩みを持っている方はぜひ試してみてください!


※ゴムシートの厚さは0.5mmのものを使っています。厚くなるほど効果が増してくるので各自好きな厚みのものを探してみてください。
※クラシックギタータイプのサドルの場合は、4弦から6弦までまとめて届くゴムシートを挟めば同じ効果が得られます。